太陽コロナの電波掩蔽観測

博士課程の千葉翔太さんによる太陽コロナ観測の論文がSolar Physicsに掲載されました。2016年に探査機「あかつき」が地球から見て太陽のほぼ反対側を通過した際に探査機から地球に電波を送信し、経路上のコロナ(太陽から吹き出す高温のガス)の影響を受けた電波を地球で受信して、その強度や周波数の変動をもとにコロナが作られるメカニズムを論じたものです。2週間以上にわたる観測の中で日によって「高速風」「低速風」の2種類の太陽風をとらえ、乱流のエネルギーが熱エネルギーに変換される空間スケールが両者で異なることなどを明らかにしました。「あかつき」による太陽コロナ観測はその後も繰り返し行われており、今後は太陽活動度の長期変動に伴う変化にも注目していきます。

乱流が散逸して熱に変わるスケールの、太陽からの距離への依存性。2種類の理論モデルと比較している。