研究内容

地球はどのようにして今の姿になったのか? 宇宙に生命を宿す天体は存在するのか?

大気・海洋・生命を構成する揮発性元素が、原始太陽系においてどのように存在し、どうやって惑星の大気や海洋ができ、それらが現在までどのように変化してきたのかという起源と進化について調べることで、生命を育む惑星とは何かを理解したいと考えています。
特に、大気化学、火山・熱水活動、隕石衝突など多様な地質・物理現象に付随しておきる惑星表層環境の化学進化に注目し、その化学反応過程を室内実験、理論計算や野外調査によって調べています。地球惑星進化を理解するためには、上のような素過程の理解と同時に、大気・海洋など惑星の構成要素が相互作用する複雑系システムとして惑星をとらえる視点、他の惑星との比較を通じて普遍性や特異性を理解する視点が重要になります。

惑星化学

タイタンの起源と進化

土星の衛星・タイタンは地球によく似た表層環境を持っています。厚い窒素大気を持ち、地表にはメタンやエタンの湖や雲、雨が降っています。このような気象現象や物質循環が現在も活発に起きているのは、太陽系で地球以外ではタイタンだけです。大気中では生命に関連した高分子有機物が合成されていることも明らかになってきました。
タイタンの誕生と進化、生命の起源に迫るべく、室内実験と数値モデルを用いて研究をしています。

氷衛星の起源と内部海の化学

土星の衛星エンセラダス、木星の衛星エウロパ、ガニメデ、海王星の衛星トリトン。これらの氷衛星の内部にはに液体の水からなる暖かく広大な海が存在していると考えられています。近年、エンセラダスの内部海が地表面の割れ目からジェットとして噴出していることが明らかになり、近い将来には内部海を直接調べることができるようになるかもしれません。
内部海の化学組成とは、海底熱水噴出孔はあるのか、生命活動に必要なエネルギーはあるのか、といった謎を調べるべく、室内実験やモデリングにより研究を行っています。

火星の環境進化

現在の火星は、寒冷乾燥であり液体の水が安定して存在することはできません。しかし、形成から数億年間は温暖湿潤な現在の地球のような環境が維持されていたことが、近年の火星探査による堆積物層の化学・鉱物分析などから明らかになってきました。当時の火星を温暖に保っていたメカニズムは何か? どうして火星の環境は変わってしまったのか? 過去の火星には生命が存在していたのか、その痕跡を探すためにはどこを調査したらよいのか? これらの疑問に答えるための室内実験に加え、地球上の比較対象となる場所の地質調査を行っています。


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地球進化学

太古代の地球大気

一般的に大気中の酸素濃度は、約 24-22 億年前に上昇したと考えられています。したがって、太古代には現在のような酸化的環境下での温暖維持機構や物質循環とは、大きく異なっていたメカニズムで地球表層環境が維持されていた可能性があります。特に、太古代の地球のような酸素に乏しい大気では、メタンから生成する有機物エアロゾルの役割が重要になります。太古代の地球や還元型大気をもつ惑星の大気化学と温室効果に焦点をあてて、室内実験および数値モデリングにより地表環境進化や気候の安定性について研究を進めています。

全球凍結と大酸化イベント

太古代から原生代に入る約 24-22 億年前、地球は表面すべてが氷で覆われる"全球凍結"もふくむ氷河時代を経験しました。全球凍結に陥った場合、海氷の厚さは1キロに達し地表気温はマイナス 50 ℃という極限状態になると予想されます。どうして地球は全球凍結に陥り、どのように回復し、生命はどうやってこの状況を生き延びたのか?
野外調査や岩石試料の化学分析を行い、なぜ地球大気に酸素が出現することになったのか、謎解きをしています。


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最近の修士論文研究内容

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