今村・青木研究室では、惑星の大気の振る舞いやそれがもたらす環境形成について、観測と理論を両輪として多様な手段で追求しています。スタッフ2名は日本の金星探査「あかつき」や火星探査Martian Moons Exploration(MMX)、欧州のTrace Gas Orbiter(TGO)など、国内外の惑星探査ミッションにおいて中心的な役割を果たしており、当グループの学生の皆さんが進めている研究がこれらのミッションを少なからず支えています。数値シミュレーションによる研究も、観測結果の理論的な解釈や惑星横断的な理解のために欠かせません。今村・青木の研究対象にはそれぞれ特徴がありますが(「研究概要」ページをご覧ください)、共通の問題意識のもとで共同研究を行い、学生の指導も共同で行っています。宇宙探査で得られるデータセットは多くの場合、研究の手順が確立されておらず、データ駆動科学のアプローチによる試行錯誤が求められます。そのため、複雑理工学専攻における研究室間のつながりも活かして新たなデータ解析手法の開拓に挑みます。まだ誰も見たことがなかった現象をデータの中に見つけたとき、あるいは誰も知らなかったメカニズムに思い至ったときの知的興奮を、ぜひとも若い皆さんと分かち合いたく思います。

学生の皆さんが研究テーマを決めるにあたっては、文献の講読やセミナーでの議論を通じて知識を広げつつ、各自の興味を見極めながら方向性を絞りこんでいきます。博士論文はもちろん、修士論文の成果が国際的なジャーナルに掲載されることも珍しくありません。ただし研究の道は平坦ではありません。データを解析して得られる結果はたいてい、事前の予想(期待)とは違っています。初学者はそこで戸惑いますが、実はそこが真の研究のスタートであり、新発見への入口であることが多いのです。想定外の事態に遭遇したときの発想の転換、粘り強い試行錯誤、道なき道を楽しむ心の余裕こそ、研究を通して学んでほしいことです。研究成果を学会や研究会で発表して、プレゼンテーションや議論の技法も学んでいただきます。

修士課程に入学する皆さんが学部において惑星科学や大気科学を専門的に学んでいることは前提としません。それよりも、物理学の基礎を身につけていること、論理的な思考ができること、好奇心旺盛であることを求めます。入学後は、異なる研究テーマに取り組む仲間や国内外の研究者と積極的に交流して、幅広い教養と柔軟な思考を身につけてもらうことを期待します。さらに博士課程に進学して専門性を高める意欲のある皆さんには、新たな観測プロジェクトなどに参加して次世代の宇宙科学を担う人材となっていくことも期待します。

当グループに興味を持たれた方は気軽に今村か青木にご相談ください。

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