今村研究室
大気がつくる惑星環境 探査と理論モデルで新領域を切り拓く
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今村 剛(教授)
〒227-8561 千葉県柏市柏の葉5-1-5 柏キャンパス 基盤棟 4H7
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2020/08/14 10:55:59 PM
当研究室に在籍していた奈良佑亮さんが今年2月に、武藤圭史朗さんが8月に、いずれも惑星大気力学の研究で博士の学位を授与されました。
奈良さんの博士論文は、探査機あかつきやVenus Expressが取得した金星の連続的な雲画像から大規模な大気運動を取り出し、惑星規模の波動の役割を論じたものです。波動が雲の模様を作り、低層の大気と高層の大気の運動を同期させ、高速大気循環の維持に関わりうることが示されました。自ら開発した巧妙な雲追跡アルゴリズムによる成果です。
金星大気における上下力学結合のイメージ。雲層高度の惑星規模の波動が、より小さな波動の鉛直伝播を制御する。
武藤さんの博士論文は、連続画像から局所的な雲の回転を抽出する新方法を自ら考案し、これを用いて木星と金星の微細な雲の回転の様子を明らかにして、そのような渦運動と大規模な大気の流れのスケール間相互作用を論じたものです。今後の惑星大気研究における標準的な研究手法の一つになることが期待されます。
探査機Cassiniによる木星画像(上)と画像解析で得られた局所回転速度の分布(下)
2020/07/02 4:29:50 PM
広く惑星大気に見られるスーパーローテーションという循環形態を惑星横断的にレビューした論文がSpace Science Reviews 誌に掲載されました。各分野の大御所の先生方との共著です。スーパーローテーションは自転を追い越すような自転方向の風が赤道域を含めて定常的に存在することを指し、地球大気にはない風系でありメカニズムの解明が待たれています。太陽系では金星とタイタン(土星の衛星)に見られるほか、木星と土星の低緯度にも存在します。近年になって太陽系の外の惑星にもスーパーローテーションがうかがわれるものが発見され、広く惑星の気候形成における役割が注目されています。
2020/04/13 7:18:59 PM
今春博士の学位を取得した奈良佑亮さんの論文が国際誌Journal of Geophysical Researchにて出版されました。金星の雲層高度の大気が50kmも高いところにある熱圏大気に対して流体波動を介して力学的効果を及ぼすプロセスを、金星探査機「あかつき」と極端紫外分光衛星「ひさき」の観測データを組み合わせて明らかにしたというものです。大気大循環のメカニズムの理解を大きく進める成果です。これら2衛星には複雑理工学専攻の今村研、吉川研、吉岡研が中心的に関わっています。
2020/02/27 11:21:48 AM
金星探査「あかつき」において当研究室が担当する電波掩蔽観測によって金星大気の深部までの熱構造が明らかとなり、プレスリリースが行われました。大気安定度(大気の上下方向の動きやすさ)が高緯度の硫酸雲の下ではこれまで思われていたのとかなり違うなど、大気の循環メカニズムのヒントとなる結果です。
電波掩蔽観測の概念図