金星大気の二酸化硫黄分布と変動

当研究室に2025年3月まで在籍した岩中達郎さん(現・理研)が、博士課程で取り組んだ金星大気の二酸化硫黄の挙動に関する論文を発表しました。二酸化硫黄(SO2)は金星全体をおおう硫酸雲のもとになる物質ですが、その輸送や化学反応には謎の部分が多く、詳細な空間分布とその変動をとらえることが求められています。岩中さんは、金星探査機「あかつき」に搭載されている紫外カメラUVIの2波長の画像データから二酸化硫黄の空間分布を求める手法を開発しました。そして、二酸化硫黄が様々な大気力学現象によっ下層大気から雲頂に運び上げられること、雲の上での存在量が長期的に大きく変動していることを明らかにしました。これは硫酸雲がもたらす高アルベドや大気化学過程によって支配される金星気候の理解を進める成果です。