金星の雲を多色で見る

卒業生の成田穂さんの修士論文の内容がJournal of Geophysical Researchに掲載されました。これは、金星探査機あかつきが紫外線や赤外線など5つの異なる波長の光で硫酸雲を撮影したデータを使って、雲の高さや温度や化学物質の量の変動の間にどのような相関関係があるかを調べ、雲の形成に関わる比較的小規模(およそ600 km以下)な大気循環や化学反応を探ったものです。硫酸の化学生成の材料となる二酸化硫黄が上昇流によって雲粒といっしょに上層大気に運び上げられることなどが明らかになりました。多波長で継続的に撮像観測を行うこの金星気象衛星によって初めて可能となった研究です。

二酸化硫黄の濃淡を可視化する波長283nmと雲頂高度を可視化する波長2.02μmの間の相関係数マッピングの例