衛星搭載機器の開発

 吉川研究室では、宇宙飛翔体搭載用の理学機器のデザイン・開発を行っています。

 2018年4月現在進行中のミッションは、月-地球の裏側付近から地球の周囲に存在するプラズマを撮像する、極端紫外望遠鏡PHOENIXです。東京大学の工学系研究科が製作している超小型探査機EQUULEUSに搭載され、NASAのロケットの相乗りとして2019年に打ち上げられる予定です。

 吉川研究室では2016年4月からPHOENIXのミッションが開始されました。光学系のデザイン、性能試験、環境試験を行ってきました。打ち上げ後は機器の運用、データの解析を行う予定です。

 PHOENIXに関する詳細はこちらをご覧下さい。

 その他、過去のミッション一覧はこちらをご覧下さい。

基礎開発

 吉川研究室では現行のミッションに関する開発以外にも、将来の宇宙ミッションに向けた基礎開発を行っています。

 2018年4月現在、吉川研究室では、吸収セル、真空ゲッター、校正用EUVランプに関する基礎開発が進行中です。

(出典:Kuwabara, M., et al. “Evaluation of hydrogen absorption cells for observations of the planetary coronas.” Review of Scientific Instruments 89.2 (2018): 023111. doi: 10.1063/1.5007812)

データ解析

 吉川研究室では、主に過去に吉川研が開発した観測機の取得した惑星科学に関するデータの解析を行っています。

 2018年4月現在では、ひさき衛星の取得した光学データの解析により、木星磁気圏における物理現象の解明を行っています。

 また、複雑理工学の他の研究室と共同し、機械学習の手法を惑星科学のデータ解析に取り入れようという試みを行っています。具体的には、データを説明する少数の本質的な変数を抽出する「スパースモデリング」の手法を用いることで、ひさき衛星の長期観測によって得られた大量のデータから木星磁気圏を支配する物理現象を明らかにしようとしています。

アストロバイオロジーに関する基礎実験

 広大な宇宙空間のどこかには、地球以外に生命が存在する天体が存在するかもしれません。吉川研究室は、宇宙における生命の起源、進化、伝播、および未来を研究するアストロバイオロジーに携わっています。

 2018年4月現在、宇宙の過酷な環境における生命の生存の条件を探ることを目的として、実験室で放射線耐性細菌 D.radioduransを培養させ、放射線照射下での生育状況・生存率を調査しています。